ジタバタと暴れ、私の頭がゴンッと鈍い音を立て、男の顎あたりに当たってしまった。

冷や汗背中を伝う。

「…ってぇなぁっ‼︎‼︎」

「っ‼︎‼︎‼︎」

左頬に強い衝撃を感じる。

私は後ろに倒れた。

「暴れんじゃねぇ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

そして再び腹を何度も殴られる。

私は咳込んだ。

ようやく止まった頃には、もう抵抗する力はなかった。

「……やっと静かになったか」

涙が溢れる。

今頃、拓人はあのベンチに戻っているだろうか。

私がいないのに気づいて、探してくれているだろうか。

とめどなく溢れる涙は、全て目隠しの布に吸い込まれていく。

「…ぐすっ………っく……」

「は………泣いてやがる」

私はぐったりと体から力を抜いた。

拓人……………会いたい……。

男は再び洋服を脱がせようとした。

私はもう、怖くて抵抗出来なかった。

しかし、中々上手くいかないらしく、布の裂ける音が響いた。

拓人に買ってもらった服……。

露わになった肌に冷たい空気が刺さる。

「きれーな肌してんなぁ。真っ白だ。ずっと誰かに守られてきやがったみてーだ」

思い浮かぶ拓人の顔。

いつも守ってくれた……。

男は私の背中に手を回し、パチンと何かを弾いた。

瞬間、胸の締め付けがなくなる。

「ん……」

帰りたい。

「すげーーー………」

視線が私の体をなぞっているのを感じる。

なんだか気持ち悪い。

吐息が近づいてきて、首筋を生暖かいものが濡らす。

「ひゃうっ………」

男はそのまま胸まで舌でなぞり、胸の突起をちろちろと弄ぶ。

「……あっ、う………んっ、んん」

体がムズムズと嫌がりだす。

それでも男はやめない。

首筋から腹にかけてを、男は何度も何度も舌を這わす。

「んんぅ……ひゃんっ……あっ、あっ」

「お、いい声出すじゃねぇか」

やだ。

もうやめて。

早くやめて。

やだぁ……………。

助けて……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。
拓、人…………………………。

大きな音が響いた。

「誰だ?」

男が威嚇するように言った。

「迎えに来たよ。……遅くなってごめんね」

そして聞こえる、争う音。

誰かが誰かを殴る音。

しばらくして、その音が止み、私の肩に誰かが触れた。

ビクンと敏感に反応する私を見て、戸惑ったように手を引っ込めた。

そして、誰かが私の両頬を包む。

暖かく、大きな手。

よく知っている、大好きな手。

目隠しがぱらりと取れた。

目の前に、大好きな拓人の顔が見えた。

その瞬間、涙がポロポロと溢れた。

今度は安心感で体が震える。

「あっ……あ、………あぁ…」

彼は何も言わず、裸の私を包むようにぎゅうっと抱き締める。

「たくっ……と…………た、く…」

彼は暖かい大きな手で私の頭を撫でた。

「…………くぅ、ん…」

「…………ごめん」

そういった彼の声は震えていた。