「暑いとか涼しいとか、そんなことより……僕は、こんな所にいつまでも居たくない。こんなモニターや点滴に、いつまでも繋がれて……夏休みを潰したくない」

詩月は、理久が悪いわけではないのにと思いながら、不満をぶつける。


「そうだな。こんな所に、いつまでも居たくないよな」

理久は詩月の顔色や様子を気にしながら、部屋の隅に立て掛けた椅子をベッドの傍らに置き、腰を下ろす。

「検査を受けるたびに、もしって不安でたまらなくなる。……薬が変わったり、数が増えるたび、また悪くなったのかって辛くなる……」


「そうだよな」


「それに。こんな窓枠から見える空や街並みで……満足なんかしてるわけないだろう」

詩月は、声を荒げて胸に手を押しあてる。


「幾つも検査しても辛いだけで、体力がなくて手術はできないと言われる。
それに手術しても完全には治らないってわかってるんだ」