……あたしの中にはもう一人のあたしがいて…


もう一人のあたしが…


“黒い獅子”が目を覚ます………………………


『今は1人でいる必要なんてない』


と手招きして誘惑するんだ…


お前はこっちの人間なんだ。


今まで夢を見てたんだよ。


お前のいるべき世界はこっちだろ。


お前に純愛なんて似合うわけがない。


汚れたお前は純白になんかなれないの自分が一番知ってるだろ!


涙を流し、近寄ったあたしの襟首を掴み言うんだ。


お前は汚れてる。


染み込んだ汚れは洗ったってとれやしねぇから。


お前は悠希を傷つけたんだろ。


ほら、また汚れた。


お前は根っからのどす黒い女だもんな。


無理なんだって。


いくら逃げても無駄だよ。


お前は終わってるんだ。


性悪女。


腐ってんだ…


廃人と同じなんだよ…


『ダメ!ダメ!ダメ!』


頭の中は理性をきかせもがき苦しむ。


苦しめば苦しむほど巡る言葉。


『一人は嫌。歩、一人は嫌なの…』


目を見開けば暗闇に引き戻され、取り残されていた。


夢?


現実?


何がなんだか訳もわからず一点を見つめ、暗闇で足を滑らせ崖を急降下し、地面に叩きつけられた。