「1ヶ月」


あたしが救われたいと願い埼玉に行った期間と同じ期間。


たかが1ヶ月?


全然たかがなんかじゃない。


長い。


とても長い…


地元に置いていかれた悠希は1ヶ月をこんな気持ちで過ごしたのか?


待たせる方は一瞬の出来事でも待つ方は1日が


1時間が


1分が


とてつもなく長い…


毎日、毎日、指折り数え仕事と家を往復する日々。


『歩~元気してる?最近どう?たまにはかまってよ~お前付き合い悪すぎぃ』


友達からメールがきても申し訳ないが誰とも遊ぶ気になどなれない。


自然と減る食事の量と回数。


以前に戻った美味しくない食べ物。


喉を通るのを嫌がってつかえる。


「はあぁ~」


それに反しタバコの量は莫大に増え、ふかしては溜め息をつく。


――散々迷惑かけた挙げ句に待たせたんだもの。悠希は電話よこすって言ったんだから待たなきゃ


同じ思いを繰り返し、長い一日を過ごしていたあたしは心が抜けた人形みたいだった。