会わなくなって何週か過ぎ、季節は完璧秋に移りかわった。


マックス本調子でない精神面。


でも大の大人が無収入ではいれない。


運よくすんなり日中の仕事の面接に受かったあたしは体を慣らす程度に仕事をし始め、悠希との連絡が絶っている間に生活が落ち着きだしていた。


仕事が終われば即座に帰宅。


そして何もしない。


友達に飲みに誘われてもなんか憂鬱で家を出たくない。


頭に浮かぶ悠希の姿に故意にもやをかけ、テレビを見て家でボーっとしてる時間が多い。


「暇してるならスロットでも行くか?」



他県で教員をしていた兄が最近こっちで教員免許を受け直し、合格を期に近所に越してきた。


実家をけ嫌いしていた兄だが、父がいないおかげか暇なのか毎日出入りしている。


さすが父の血を引く兄。


ギャンブルがやめられないらしい。


別に暇だし何をやる訳でもないあたしは誘われ断る理由もなく、スロットへ着いていった。


兄と地元の寂れたパチンコ屋に行き、車のドアを開け降りようとする。


その時だった。


“♪♪~♪…”


着信:悠希


いつも同様悠希の着信で携帯が鳴り「先に行ってて」と兄に言うと、車に乗り込み通話を押した。

「あっ。俺」


「おうよ」


「どうよ」


「へっ?」


「いや。違うな」


「なんだお前?」


「いや。あのさ…」


「ん?」


「俺出張になった。東京行き決定…」


「東京!?えっ!えっ!?遠いじゃん!」


突然の出張行きを聞かされ驚きを隠せない。


東京ってなんで!?