「意味わかんない。今日の悠希おかしくない?どうしたん?何かあった?」


「好きなんだよ」


帰り際こんな台詞を残さないのに、やはり何かがその日は違った。


変だ。


やっぱり変だ。


悠希があまりにも「好き」を強く口にするもんだからあたしは顔を見て小声で呟いた。


「また海行こうね」


そう言うなり思いきり胸に顔を埋めた。


「好きだ」


「わかったって」


「大好きだ」


「わかったってば~しつこいぃぃ」


裸で重ねる肌も好きだが、布一枚を挟み抱き合う感触もいとおしい。


こんなに恋しくて大好きで思いは通じ合っているのに「好き」が耳に入るたび距離が広がる気がした。


あたしの元を離れてくんじゃないかって不安になる。


「歩…可愛い…」


「もうやだ。悠希変だからすんげぇやだ。離して」


「…ごめん」


これ以上心の距離を広げたくない。


だから体を離してしまいたい。


寂しい「好き」なんていらない…