「悠希痛い!無理!」


「あっ、わりぃ!俺何やってんだ」


悲鳴まじりに動きを阻止したら、悠希はハッとして申し訳なさ気に腰から手を離した。


身に掛けようとした上掛けが床に半分落ちてて、あたしは力任せに雑に引っ張り上げた。


ひんやりした部分が腹部をかすり、痛みが増す。


なんかせつなくなった。


いきなり求めてきたり荒々しくなったり。


さっきまで海にいた時とはうって変わってしまった悠希。


焦り?


独占欲?


それに近い感覚が悠希付近をちらほらうごめいている。


「腹っ…痛い…」


「マジごめん…」


「いい。大丈夫。ちょい横になる…」


「歩、バックダメなんだもんな…」


「いやいい。大丈夫」


神経を下に引っ張られてる感覚がおさまりきらなくて、あたしはひきつった顔で平気なフリをした。


有線をかけていた部屋に流れるのは流行りの新曲。


どことなく壁のある二人のやり取りが落ち着かないのか、悠希はすかさずタバコを手に取り、背を向け吸い出した。


「ねぇ悠希」


「…」


「あたしも吸いたい」


「あっ、おぉ」


悠希が吸っていたタバコをそのまま口に加えさせてもらい、天井に向かいゆっくり煙を吐き出す。

ズキッと子宮に走る痛み。


またあたしの顔がひきつった。