再び訪れた長い沈黙。


神妙さは続いたが、悠希も決心をきめようだ。


「…うん。信じっから」


「あたし怖いもんないもん。もう終わりにする。全部終わりにする。だから信じて」


悠希に父の件や家族、過去の経緯を打ち明け肩の荷が降り、身軽になったあたしはすんなり怖いものなど薄れていた。


逃げたりはしない。


アイツと向き合うんだ。


あたしを「いらない子」として誕生させたアイツと。


「なぁ歩。俺はお前を信じる。だからお前も俺を信じて欲しい。人なんて嫌いだろうが俺を信じて欲しい」


「信じるかぁ…。えへへっ。よっくわかんないや」


本当は信じてる。


あなただけは信じてる。


口に出来ない弱いあたしを許して…


「歩は必ず約束を果たすんだもんな。俺が出なくても父親に話すんだお前は。信じてる」


「悠希…」


「お前はプライドの高い女前な奴だ。やるよ」


「ありがとう…出来ない約束なんて歩はしないよ。必ず守るから…」


真っ直ぐぶつかってくる悠希との約束を果たす。


自らに誓い、あたしは前に進む。


あたしには悠希がいる。


信じてくれる悠希がいる。


父との決戦は今日決行し、決着をつける。


何がなんでも…


「一人じゃない。二人なんだ」と胸に強く刻み、あたしは強い意思を持って悠希に家まで送ってもらった。