「なんでそうやって強がるんだよ!」


「強がりじゃねぇよ!いいの!」


「よくねぇ!なんで人に甘えたり頼ったりお前しねぇの!?いっつも強がってんじゃねぇかよ!」


「強がりなんかじゃない!人なんか信じたら馬鹿みんじゃん!だから自分で何でもしなきゃなんねんだよ!もう傷つきたくねんだ!」


「俺も歩を傷つけてるか!?俺が守るって言ってもダメか!?」


「血の通った家族ですら裏切るんだよ。悠希の家族とうちは違う!人なんて嫌い!」


「……」


悠希が黙り込んだ瞬間、背を向けた。


気まずさと長い長い沈黙が続き、嫌われたと思ったあたしは車を降りようと車のドアに手をかけた。


「歩の父親に俺話すから」


「えっ!?」


沈黙を打ち破った悠希は思いもしない事を言い、ドアに手をかけたまま振り返る。


「こんなに歩痩せて支えなきゃいれねぇ状態なのによ…どっちにしろ夜の仕事させようとするなんて冗談じゃねぇ!お前の父親に会わせろ!」


「合わせない!絶対やだ!」


「いいから!」


「やだ!」


「んじゃ俺の憤りのなさどうすりゃいいんだ!モヤモヤすんだよ!」


悠希は両手で車のハンドルを強く握りしめ、顔を埋める。


互いに一歩も譲らず、話してもらちがあかない。


何が何でも父と悠希を会わせたくない。


あんな腐れに会わせるくらいなら息絶えた方がまし。


結果、意地っ張りなあたしはどうしても踏み出せなかった一歩を自ら踏み出す決心をした。


「わかった。今日何があっても夜の仕事はしないって父親に言う。それで終わりにする。決着つける!」


「お前言えんのかよ!?」


「言う!自分で解決したい!」


夕焼け空だった外の世界は暗くなり初め、薄暗い車内で悠希はあたしの目を見つめた。


本気だと感じ取ってもらう為、あたしも目をそらさず見つめかえす。