しゃがんで、むこうを向いているけれどその肩は小さく震えている。

「明日香」

「ユウ…」

「ハンカチある?」

「ない…」

「ん。」


俺からタオルをひったくると明日香はそれを顔に押しつけた。
だんだん嗚咽…というかうなり声も大きくなってきたところで、その細い腕を握る。傷つけないように、そうっと。

「ちょっと場所移そ。次の時間何?」

「古典…」

「サボるのに最適やな」

くすり、と一瞬笑ってから、明日香は俺の指を腕からほどいて、きゅっと握る。
泣いていたからか、明日香の手は熱かった。