目を閉じると涙が頬を伝うのを感じた。
暖かいものがそれをぬぐってくれる。
それがユウの手だと分かった途端、よけいに涙があふれた。

「ごめんね、ユウ。
私いつも迷惑かけてばっかりやわ…。
私ね、私、ユウを支えたかった…!
頑張りやさんのユウを支えたくって、私、ごめ……」

目を開けると、ユウが見たこともないくらい優しく微笑んでいた。

目の高さが同じなのは、椅子から立ち、かがんでくれたからだ。


「明日香…?
俺はいつも明日香に支えられとるよ。」

「う…嘘だっ!」

またひとしずく涙が零れ、頬を濡らす。
ユウの顔が近づき、唇が雫をさらっていった。

「え…」

「俺はね、明日香。
明日香の表情の中で、一番笑顔が好き。」

「……」

「俺がキャンパスで何て呼ばれとるか知っとる?」

「えっと…」

なんだろう?
イケメンとかじゃないんだろうか。

「“歩く冷蔵庫”」

「っ!」

思わずふき出してしまった。
ちらっとユウを見ると、ちょっとこっちをにらんでいる。

「俺は笑うのが苦手。
でもその分明日香が笑ってくれる。
明日香の笑顔が、俺を笑顔にさせてくれる。」

ユウの大きな手が、私の頭に乗り、頬へと動く。


「明日香がいるから、俺は頑張れるんよ。」

「ゆ、ユウーーーっ!」


思わずユウに抱きつくと、ユウはちょっぴり困ったように笑いながら、
優しく抱きしめてくれた。