その日、礼太にとっては驚くべきことに、友達が三人できた。


一人は今朝、早々に話しかけてきた忍。


このクラスの委員長を務めているらしい少女、蔵峰 リリィ。


そして、みどり縁眼鏡をかけた伊集院 虎二郎。クラスメートからはラジ、と呼ばれているらしい。


蔵峰 リリィは背の随分低い可愛らしい少女で、ぱっと見は小学生にしか見えない。


発育の良い妹と一緒に暮らしているせいか、小さな女の子、という生き物にはどうも慣れない。


握手を求められた時は、力を入れたらこの華奢な手は壊れてしまうのではないかとひやひやした。


「よろしくね、奥乃くん」


にっこりと微笑む姿は愛らしくて、礼太は自分の顔が真っ赤になるのを感じた。


ふふ、と蔵峰 リリィがおかしそうに笑う。


ラジは不思議な少年だった。


緑のメガネをかけている時点で見た目が風変わりなことは勿論、ひょろりと高い背のせいで不思議くん感をいや増している。


「奥乃くんのオーラはいぶし銀だね」


にこっと笑う。


耳元で囁かれ、礼太は口をあんぐりとせずにはいられなかった。