「オカルト研究部……?」


なんだそれは、という顔をする礼太に、忍が、あれ?ぁああっ、と声を上げて、ぷくぅっと頰を膨らませた。


「リリィちゃんってば、オカ研だって説明しなかったの?」

「説明したら、来てくれなかったわよ、きっと」

「でも、説明は義務だよ、詐欺じゃないか、これじゃあ」

「まだ、奥乃くんは入ると決断したわけじゃないもの。勧誘はこれからだから、別に詐欺じゃないわ」

「でも、卑怯だ」

「かしこいの」


ちみっこい二人の言い合いはなんとも言えず可愛いらしかったが、いまいち飲み込めない状況を説明してもらうべく、礼太はラジを見上げた。


ラジは何を考えているのか分からない、というか何も考えてなさげな笑顔を浮かべると、

「ごめんねぇ、すぐ済むからね」

言った。


「……はあ」


「礼太くんは、どこまで聞いてるの」


「いや、ここに来てってことだったんで、とりあえず来ただけというかなんというか……」


(さっき、オカルト研究部って言ってたよな)


二人の言い合いを整理すると、


彼らはオカルト研究部の部員。

部員数が足りなくて欲しがってる。

蔵峰リリィはとりあえず黙秘の上、礼太を引っ張ってきた。

忍は礼太が入部を快諾してここに来たと思っていたので、失望したは腹がたつはで、わーわーわー。


こんな感じだろうか。


「二人とも。礼太くん、困ってるし怖がってるよ」


ラジが希皿に噛み付く華澄をもなごませそうなのぉんびりした声で諭すと、二人は黙り込み、照れたように笑ってみせた。


蔵峰リリィがちらり、とこちらを向くので、礼太はまたも頰が赤くなるのを感じた。


「あのね、奥乃くん。騙したような形になってごめんなさい。でもね、悪気があったわけじゃないの」


蔵峰リリィはとことこと近づいてきたかと思うと、不安げに礼太を見上げた。