「あー、よかった。礼太くん来てくれたっ。希皿に邪魔されたらどうしようかと思ったよ」


机に腰かけていた忍が目をきらきら輝かせながら言った。


「こればっかりは奥乃くんの自由意志だもの。慈薇『鬼』だろうが『鬼』だろうが、関係ないわ。ね?」


倉峰リリィがふふ、と笑う。


「それにしても、希皿があそこまで世話焼くなんて、奥乃くんと希皿ってどういう関係?」


ラジが、くいっと首をかしげた。


訳が分からずぽかーん、としていた礼太はいきなり話を振られて慌てふためいた。


「え、いや、関係……ともだち、かなぁ」


妹の華澄なら、敵同士、と眉を釣り上げるだろう。


弟の聖なら、ぷぅっと頰を膨らませて、関係ないよ、あんなやつ、と一蹴するかもしれない。


しかし、礼太にとってはやはり、希皿は友達だった。


家同士が長年いがみ合ってきたことは知っているが、それこそ礼太には関係のないことだ。


三人は一通り、ふぅん、へぇ、ほお、と言い合った後、お互いに顔を見合わせ、次いで礼太ににこやかに微笑みかけた。


「ではでは、希皿のご友人、奥乃礼太くん」


「……はい…」


倉峰リリィが、ぴょん、と進みでる。


小さな白い手で、礼太の手をそおっと包み込むと、彼女はこう言った。


「ようこそ、我らが『オカルト研究部』へ」


「……ん?」