改めて、こうやって触れれば。
やっぱり三木くんの体は、女のわたしとは全然違う。
胸板は厚く、固く、肩幅もとても広くて、
背だってずっと高い。
おそるおそるというように、わたしの背中に回された腕は、ずっとずっと逞しい。
男の子じゃない。
男、なんだ。
年齢や脳はまだ幼くても、体はもう立派な〝大人〟なんだ。
「――まもなくー、京都ー、京都ー。お降りの方はー、ご荷物のお忘れがないようー……。」
あ……もう、京都に着いたんだ……。
周りの生徒も、今の放送で次々と起き始める。
三木くんがここにいることも、バレるのは時間の問題。
2人の時間は、もう終わり……。
まるで魔法の溶けた、シンデレラ
「……そんな、寂しそうな顔すんなよ。」
え……?
「せんせ、ほら。これあげる。」
そう言って三木くんから渡されたのは、1つの飴玉。
可愛いうさぎの絵の包み紙で、いちご味って書いてある。
どう見たって子供向けの飴ちゃんだ。