不謹慎だというのは分かってる。


人が辛い思いをしているのに、それを喜ぶなんて、

決していいことじゃない。


それは、十分に分かってるつもりなんだけど……。



「っ……。」



……どうしよう。


わたしも、嬉しいと思ってしまった。



今隣にいるのが、智樹じゃなくて三木くんだということが。


ごめんね、智樹。


今度、智樹が好きなシュークリーム、たくさん買ってあげるから。



「っ、せんせ……?」



誰が聞いてるか分からないから、言葉に出す勇気は出なくて。


その代わり、態度で目一杯に示してみる。



大胆にも、自分から三木くんに抱き着いてみた。


今まで三木くんと近い距離になることは、何度かあったけど……。


……こうやって、自分から近付いたのは、今日が初めてな気がする。