「幸ちゃんっ」

嬉しさのあまり、私は廊下に飛び出した。

驚きで目を見開く佐野くん。そして隣にはニヤニヤとニヤけている佐野くんの友達が二人いた。


「さ、サエ・・・っ」

ビックリしすぎて喉に息を詰まらせる佐野くん。

私はニコニコと笑顔を絶やさずに佐野くんを見つめる。

私は佐野くんのことを幸ちゃんと呼んでいた。

昔からそう呼んでいたから、幸ちゃんて呼んでいたんだ。

そう、呼んでいたんだ・・・。


「“幸ちゃん”だってよ!アツアツだねぇーお二人っ」

「しかもお出迎えかよーっ!!これから二人で帰んの?」

ヒューヒューとはやしたてるように口笛を吹きながらそんなことを言う佐野くんの友達。

私は好きだったから、そんなの苦にもならなかったけど・・・・・佐野くんは違った。


「うっせ!別にいいだろっ







俺だって好きで一緒に帰ってるわけじゃねーんだよ!」


「っ、」


頭を石で殴られたような感覚。