「石田くん、」



「おい、」



石田くんに話しかけると郁也は私を止めようとする。



だけどそれを振り払って石田くんの隣に座る。




「石田くん、まえに、
なんで俺じゃダメなのって、

アイツは全て持ってるから譲ってくれてもいいじゃん、って言ってたよね?」




私がそう言うと石田くんは静かに頷く。




「郁也はね、最初から全て持ってたんじゃないんだよ。

全部努力して手に入れてきたんだよ?郁也は努力家だから全部手に入れたの。最初から完璧な人なんていないんだよ。」





私がそう言うと石田くんは視線を私からそらした。