「石田。」




郁也が低い声で石田くんを呼ぶ。




「…なんだよ。」




石田くんは涙をこらえてるのか俯いていた。




「好きなんなら、まずは堕とすんだな。」



郁也はいたずらに笑ってそう言う。



石田くんは少し驚いたように顔を上げる。




「堕とすためには好きになってもらえるよう努力する。

そうすれば例え叶わなくたって後悔のない、胸を張れる恋愛になるぞ。」




郁也はそう言ってから私をソッと離し、石田くんの方に歩いてく。