懐かしい郁也の香り。



やっぱ私が好きなのは郁也。




そう思ってると頭上から郁也の弱々しい声が聞こえる。




「こんな俺が好きなの?こんな俺でいいの?石田っつー奴の方がおまえを幸せにできるかもしんねぇんだよ?」




……私の石田くんを断れなかった事件は郁也の中ではだいぶキツかったようだ。




そりゃ…そうだよね。私だって嫌だもん。



「郁也、ごめんね。前みたいになるとって思うと怖くて。

だけど、だからこそ前に進まなきゃいけないのにね。」




石田くんにハッキリと断らなくちゃ。じゃなきゃ誰も幸せになれない。




「私が好きなのは郁也だけだよ……」