「妖精さん、最後に名前だけ教えてよ。」




最後

その言葉が引っかかる。





「綾崎 由奈……」




私がそう言うと彼はフッと笑って




「可愛い名前なことで。」




そう言ってすれ違いざま、私の頭を撫でて屋上を出て行った。





本当……ごめんなさい。

あなたはこんなにも涙を見せないようにしてくれたのに、

私が泣いてしまって。



一番辛いのは彼なのに。


本当、ごめんなさい……