「……なんで泣いてんだよ。」
郁也は私の方に歩きながらそう尋ねる。
「郁也には関係ない……っ…」
「関係ないわけねぇだろっ!」
ダンっと近くにあった棚を蹴る郁也。
だけど、すぐにハッとしたように表情を歪ませた。
「…俺は呼ばれたんだ。おまえが泣いてることごときで。
それで俺が関係ねぇわけないだろ。ほら、早く答えろ。なんで泣いてる?」
予想外の展開に俯いてしまう。
泣いてる理由なんて…聞かれるとは思わなかった。
俺を巻き込むな、
そう言って帰っていくかと思った。
少しは…気にしてくれてるのかな?
いや、自分が関わってるだけだから知りたいだけかも。