「郁也知らない?」




「え、どうかしたんですか?」




私がそう聞くと郁也のお母さんは肩をすくめた。




「いや、別になにかあったとかじゃないんだけど、今日バイトらしいのね。

で、もうすぐ始まる時間なんだけど玄関にこれが…」




「え、財布?」



ってか郁也バイトとかしてたんだ、知らなかった。



「財布特に使う場所ないかもだけど、もし使ったら大変だものね…」




郁也、おっちょこちょいだったんだ。意外。