六花は友達ではなく“仲間”が欲しかった。けれどできなかった。



作れなかった。



六花と気の会うクラスメイトはいなかった。


交流会で他のクラスメイトとも接してみた。



しかし、それでもいなかった。



彼がこの人だと思える人物は。



だから六花は“ひとりぼっち”にも“一人”にもなれない中途半端な場所にいるのだ。



言葉に詰まった六花を見かねたように彼女は声を掛けてきた。


「答えられないのかい? それともその無言は肯定と受け取ってもいいのかな?」



「そうだな…確かに俺はぼっちなのかもしれないな」


「ほら、やっぱりぼっちじゃ――」



「でも、俺は友達じゃなくて仲間を探してるんだよ」



六花は彼女の言葉を遮って力強くそう言った。


「仲間?」


彼女は怪訝な表情を浮かべる。


「そう。俺は俺と似たような仲間を探してるんだ」


「ふーん…仲間、ねぇ。結局その“仲間”とやらは見つかったのかい?

と言いたいが、その様子じゃ見つかってないんだね?」



彼女は少し口角を上げてニヤニヤした表情でそう聞いてきた。



何かを企んでいるようなそんな表情で。



「あぁ、全然駄目だった。違うクラスのやつとも話してみたけど合わなかったよ」


「それはそれは残念だったね。なら女子には声を掛けてみたのかい?」



「キャーキャー騒ぐような女には声を掛けてないよ」



そこで彼女ははっきりと、効果音でも付きそうなくらい分かりやすくニヤリと笑った。





「なら、私はどいだい?」




「え?」