「意味は、おもしろくないこの世の中を変えてやるって意味らしい。
まぁ、『おもしろき こともなき世“に” おもしろく』っていうのもあるけど。
意味はこの世をおもしろくするにはどうしたらいいんだろう。
という二つの意味があるらしいんだけどね。
だけど私はそんなことを悩むよりも、自分が行動しておもしろくする方が性にあってる。
ということで、雨に濡れているのは自分が楽しむということでやっているんだよ」
と、彼女は長々と語ってくれた。
「それ、楽しいのか……?」
六花には心底その楽しさが理解できなかった。
「楽しいさ! シャワーとは違った水の感覚! 肌を打つ水の痛み!
これが楽しくなくて何が楽しいんだい?」
彼女は舞台女優のように腕を大きく広げ、高らかと問いかけてきた。
六花はそんな彼女に若干弱腰になりながら話す。
「フツーにゲームとか、女子ならお喋りとかあるだろ……」
「チッチッチッ」
彼女は人差し指をメトロノームのように左右に振る。
「なんだろう…、漫画やアニメとかで見たらカッコイイのに、実際にやられるとイラッとするな……」
六花はボソッとそう呟いた。
そんな六花の声が聞こえていない彼女は六花を指差し続ける。
「甘い! 甘いよ君は! 女子どうしでキャッキャウフフして何が楽しい?!
私はそんなことをするなばアリの行進を見ている方が楽しいね」