そのまま彼女をほっといて、別の静かな場所を探してもよかった。


しかし、六花の何処かにあった小さな親切心か、はたまたただのお節介かは分からないが、気付いたら六花は彼女に声をかけていた。


「そんな所じゃ風邪引くぞ」


突然かけられた僕の声に彼女は驚く事もなく、ゆっくりと首をこちらに回して振り向いた。


彼女はまるで悪役の様にニヤリと笑ってこう言った。







「人間、たまには雨に濡れたいときもあるのさ」







そう言うと、また彼女は前に向き直った。