六花はスゥっと息を吸いこむ。




「だから俺と付き合ってくれ」




天は目を見開いたが、それをフッと緩めた。


「来世でもよろしく」


「……それってオーケーって意味?」


「私が言ってる意味を汲めないのか?


私と付き合うってことは、そういうことだぞ」


いつもの調子で天がのたまう。


「んじゃ、俺の彼女さん。

よろしくな」


「いいだろう」


口調はいつも通りのようだったが、天の頬は心なしか赤い気がした。


「そうだ六花。ダンスでも踊らないか」


またしても天は突拍子もないことを言い出した。

「ダンス?」


「そうだ。体育でやっただろ?」


「は? あれをやれってのか!?」


「なんだ、ステップを忘れたのか?


なんなら私が男役をして六花をリードしてやろうか?」


天はニヤニヤと挑発的な表情を浮かべている。


「やかましいわ。


それぐらいできる」


「なら、あの言葉を言ってほしいな」


「あの言葉って……アレか?」


「あぁ、アレだ」