「天! 何してるんだこんなところで!
授業はどうしたんだ?!
しかも雨に濡れたのか!」
授業中にサボっている自分のことを棚に上げて捲し立てる男子生徒。
余りにも大きな声で言うので声が周りに反響してワンワン響く。
「うるさーい!!
こんな響く場所で叫ぶなよ月(るな)!」
天もかなりうるさかったが、そのまま二人は口論を始めてしまう。
「名前で呼ぶな! お兄ちゃんと呼べ!」
「嫌だね、気持ち悪い」
「なっ……! あぁ、いつからお前はこんなひねくれた妹に育ったんだ……」
額に手を当て天井を仰ぐ天の兄の月と呼ばれた男子生徒。
確かに上履きのを見ると緑のラインが入っていた。
「で、誰だコイツは」
蚊帳の外だった六花にやっと気付いたらしい。
見た目のせいで威圧感が半端ないが、六花はその視線を真っ直ぐに受け止める。
「あぁ、六花は私の友達」
「お前に友達?! お前が?」