『最初から知ってた。

 でも、ごめん…。
 どうしてもハルを夏美に渡したくなかったんだ…。
 だから夏美にもハルのことが好きアピールもしたし…』



そこで冬香の言葉は切れる。


私は冬香に何かを返そうかと思ったけど、それでも冬香は何か言いたそうな顔をしていたから、私は口を結んだ。


それに気付いた冬香は、再び口を開く。





『夏美にフラれた後のハルに近づいたんだ、私…。
 私といれば夏美に会えるし、そうしていくうちに夏美の気持ちが変わるかもしれないよって……

 だから、私と付き合ってた方がいいって……』





冬香……


ハルもそんなことを言われてたんだ…





『ごめん……。
 最初から私がハルにあんなことを言わなければ…
 夏美の想いも聞けるくらいの私だったら良かったんだ…』




冬香はそう言って、俯いた。




違う、違うよ?


違う、私が自分の想いをきちんと伝えられてれば、良かった。





『冬香……
 もし、私が、私もハルが好きって言ってたら。
 もし、私がハルに告白されたって、そう相談したら。
 ……どう、してた……?』



私は恐る恐る、冬香に問いかける。





『“なんで”、そうは思ったよ……。
 “なんでこうなるの”、そうも思ったと思う……。

 それでも、私の大好きな二人が幸せになるなら、時間はかかるかもしれないけど、きっと、二人の背中を押したと思う……』









『だって、今は、今の私は、夏美の背中も、ハルの背中も押したいから』







……冬香…。



気がつけば、冬香のその言葉に、私の目からは大粒の涙が溢れだしていて。



そして、冬香の目からも大粒の涙が溢れていたー…。