ハルを信じたい。
ハルの言葉を疑いたくない。
冬香の思いが手に取るように、冬香の表情から読み取れた。
『………そっか……』
曖昧に返事をするのは、きっと100%の思いでハルを信じていない、でも、それでもハルに何か返事をしたくて。
だから、そんな返事になってー…。
『とりあえず、俺の部屋に行こ』
ハルのその言葉に、冬香は頷いた。
『あ、じゃ、私は帰るよ!
あ、冬香、ハルね、冬香のこと、好きだって!
冬香の思いすごしみだいだから、サクッと仲直り?しちゃえ!』
私は、冬香にピースサインを送った。
冬香はそれを見て、微かに微笑む。
復讐、してやろうかと、そう、思った。
でも、こんなアンバランスな冬香を見てると、やっぱり胸が痛む。
散々、冬香を裏切って、ハルと密会して、キスして、セックスもした。
でも、今なら。
今なら、冬香にバレずに、このままなかったことにできる。
『ハル君、あとはよろしく!』
私はそれだけ言って、踵を返し、玄関で靴を履こうと移動する。
『何、言ってんの?』
でも、私は靴を履く、その手前で、低い声に、そして力強い手に引かれた。
私は咄嗟に振り向くと、怖い顔をしたハルが立っていた。