ハルはベッドから降りて、窓際に移動する。
さっきの私と同様に、カーテンの隙間から外を確認する。
『…ね、どうするの?
私とりあえず隠れた方がいいよね?』
私はそう言うなり、どこか隠れられそうな場所を探し始める。
クローゼットが一番無難そうだけれども、クローゼットを勝手に開けると洋服やらなんやらがぎっしり収納されていて、とても私が入れるスペースはなかった。
『てか、無理じゃね?』
ハルはそう言うなり、私とは打って変わって、冷静に昨日脱いだ服に身を纏った。
『そんなこと言ったって…』
私まで動揺してしまう。
それに比べ、こんなにも冷静なハルに、私はなんとか落ち着こうと深呼吸をする。
『夏美、スリルがあった方がいいって、そう言ったよな?』
こんな時でさえも冷静なハルが発した、その言葉。
私はそれを聞いて、背中に一筋の汗が伝っていくのが分かった。
『…………どういうこと?』
私は恐る恐る、ハルに問いかける。
『冬香の前に俺たち二人で出て、冬香に誤魔化す。
そんなことが出来たら、もっと楽しくない?』
ハルは、そう笑って提案してくるけど…。
確実に二人で冬香の前に出たら、冬香は怪しむよね…?
ハルはそんなこと言うけど、冬香に誤魔化す、そんなことが出来るの?
『……そうだね…』
ハルは私の返事を聞くなり、私の服を差し出す。
ちょっと…これ、昨日着てたやつ…なんですけど。
でも、私は裸で出る訳にもいかず、仕方なくそれに着替えた。