口に片手をあてて、うふふふと笑うジャスミンさんに、私は口元が引きつる。

ラブラブタイムって、何故私と夏輝さんがそういうことになっていると思われているんだろう……。

ドアを開けた彼女は、微妙な顔をする私に、「どうぞ、とりあえず入って」と笑顔で促してくれた。


中には誰もおらず静かだけれど、窓がないため照明がつけられると昨日と同じ雰囲気のまま。

そして、昨日とは少し離れたカウンター席に座らされると、買い出しをしてきたらしいジャスミンさんは、ビニール袋を持ったまま一旦奥へ入っていった。

すぐに戻ってきた彼女の手には、私のハンカチが持たれている。


「これよね? はい」

「ありがとうございます! あの……ついでと言ってはナンですが、ちょっと聞きたいことが」


カウンターの向こうで、キョトンとして首をかしげるジャスミンさんに、私は頭を掻きながら苦笑いする。


「私、昨日途中から記憶がなくて、どうやって帰ったかもわからなくて……」

「まぁそうでしょうねぇ、ほぼ寝てたもの」


あっはっはと軽く笑う彼女は、パーカーを脱いで、昨日と色違いのフリフリエプロンをつけ始める。


「でも、覚えてないなんてもったいないわよー。あの夏輝ちゃんにお姫様抱っこされたっていうのに!」

「っ、え!?」