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少しのはずがしっかり寝てしまい、起きたのはすでに午後一時になろうとしているところ。

ひとまず昼食を簡単に済ませ、パパッとファンデーションをはたく。

そして、Tシャツに薄いカーディガンを羽織り、スキニーパンツを履いた、いつものラフな格好で家を出た。


ブライズに行く途中で、まず柏屋へ、それから自転車を取りに行こうとマシロに寄った。

お店を覗くと、レジ付近にいた浜名さんがまず目に入る。

店内に足を進めながら「お疲れ様です」と声を掛けると、彼女は意外そうに目を丸くした。


「あらっ、美玲ちゃん! どうしたの?」

「ちょっと自転車を取りに」


エプロンのポケットにペンを挿しながら問い掛ける浜名さんに答えると、奥の方にいた阿部さんも、「美玲ちゃん!」と驚いた様子でこちらに寄ってきた。

そんな阿部さんは、若々しい顔に意味深な笑みを浮かべて言う。


「昨日どうだった? 気になって浜名さんとずっと話してたのよ」

「そうそう! 自転車置いて帰っちゃったってことは、まさか陽介くんとそのまま、お、お泊り……!?」


さらっと聞いてくる阿部さんと、興奮気味に頬を紅潮させる浜名さん。

……だよね、いろんな妄想を膨らませていることだろうと思ったよ。