午後7時、新宿駅東口のスタバ。
店の外を忙しく行き交う人々と、店内に腰を落ち着けて会話に興じる人々のすきまに、菜摘はいた。
急いた喧騒と、ゆったりした賑やかさ。
そのどちらにも交じれずに、菜摘は時間を持て余していた。
2時間ほど前に買ったアイスのカフェラテが、テーブルに水溜まりを作っている。
ぴた、と人差し指を浸してみる。冷たい。その指を目の下に乗せて、あご先までするりと滑らせた。
涙。
「なんちゃって」
隣に座るサラリーマンにも聞こえないような小声で、呟いた。
途端、喉の奥で何かが沸き立った。
―やば、ほんとに泣きそう…
奥歯を噛み締めてこらえる。視界がじんわりと滲んだ。鼻から息をついて、押し寄せる感情を押さえ込む。
しかし、体の中を暴れ回る何かを押さえ付けようとすればするほど、彼の顔が、まぶたの裏に迫って来た。
英太。
英太の顔。
店の外を忙しく行き交う人々と、店内に腰を落ち着けて会話に興じる人々のすきまに、菜摘はいた。
急いた喧騒と、ゆったりした賑やかさ。
そのどちらにも交じれずに、菜摘は時間を持て余していた。
2時間ほど前に買ったアイスのカフェラテが、テーブルに水溜まりを作っている。
ぴた、と人差し指を浸してみる。冷たい。その指を目の下に乗せて、あご先までするりと滑らせた。
涙。
「なんちゃって」
隣に座るサラリーマンにも聞こえないような小声で、呟いた。
途端、喉の奥で何かが沸き立った。
―やば、ほんとに泣きそう…
奥歯を噛み締めてこらえる。視界がじんわりと滲んだ。鼻から息をついて、押し寄せる感情を押さえ込む。
しかし、体の中を暴れ回る何かを押さえ付けようとすればするほど、彼の顔が、まぶたの裏に迫って来た。
英太。
英太の顔。