おれが屋上の扉を開けたとき、彼女はひどく驚いたような顔をした。



教室で見た時のように、さらさらの黒髪がかわいた風にさらわれる



真ん丸のドングリみたいな目がこぼれてしまいそうなほどまぶたを見開いて、おれを見ていた



「だれ?」



フェンス越しの彼女の透き通ったクリアな声が風にのっておれのもとへ届けられる。


彼女の見た目によく合った声



言葉が出なかったのは、こんなに気分が高揚したことがなかったからだと思う



息がつまりそうなほどワクワクした胸。


今までのどの瞬間よりも、気分が高まって。