イライラの原因が分からない。


ただただムカついて、モヤモヤして、教室に戻りたくないって思った。



はーっと深く溜め息を吐いた私を見て、遠慮がちに戻ってきた川端さんは控えめに首を傾げる。




「……あーちん、悩みがあるならきらりが聞いてあげるけど」


「……別に悩んではない」


「ほらあ、話すと楽になるって言うでしょ? どんっとこいだよ!」




得意げに胸を張る彼女を横目で見て、少し迷った。



……私にさえ分からない難解な問題を、川端さんに解決できるとは思えない。


きっと話すだけ無駄だ。


そもそもどこからどこまで何から何を話せばいいのかもわからないし。




「何でもいいんだよぉ!? 改めて言葉にするだけで、意外と気付くことがあるかもしれないじゃん!?」


「……そういうものかな」


「そういうものだよお! ほらほら、昼休み終わっちゃうよ!?」




何で楽しそうなんだよ。と思いつつも、愚痴の聞き役くらいはアホな川端さんにも務まるだろうと信じて話すべき言葉を探した。