「……それじゃ」




これ以上話を聞いていても無駄だと悟り、荷物を持って立ち上がった。


早川は今にも泣きそうに机にしがみついたまま私を見上げるけれど、それさえ無視して新しい席につく。



なんて快適。


五月蠅い早川はもう私の隣にはいない。



清々して、すっかり晴々した気持ちで思わずにやけちゃうねー。あはは。




「……」




そして何気なく目をやった斜めずっと前。


分かりやすく落ち込んでいる早川の隣の席に着いたのはボス猿だった。


夏休み前より髪色が明るくなっている彼女は、テンション高く早川に話しかけているけれど会話が盛り上がっている様子はない。



その光景にちょっとした違和感を覚えるけれど、すぐに顔を逸らした。



……本当に、なんてタイミングの良い席替えなんだろう。


これできっと、早川は私に飽きてくれるのだろう。



きっと。