「付き合うってこと!?」
「何も言ってないんだけど」
「やっ、やだやだやだやだ、だめ! 二人が付き合っちゃやだー!」
「はあ?」
一人で何騒いでるんだ。
呆気にとられていれば、涙目の彼女がこっちを睨んできてウザい。
ていうか何が駄目なんだろう。やなんだろう。そんなこと川端さんに言われる筋合いはない。まあ付き合わないけど。
「……あーちん、この前きらりが言ったこと、なんにも分かってない!」
「この前言ったこと?」
何言われたっけ、と記憶の片隅に意識を馳せるけれど、すぐには思い浮かばない。
どうでもいいことはすぐに忘れてしまう主義だけど、川端さんにとってはどうでもいいことじゃなさげで、今度こそ大泣きされてしまいそうで、ちょっとぎくりとした。
この前って、あーちんのママでべそって言われた時だろうか。きっとそうだよね。ていうかうちの母親はでべそじゃないっつーの多分。
……あれ、私意外とどうでもいいことばっかり覚えてるな。不思議不思議。