こんなとき翔くんに頼ることができれば……! くうっ! ああ翔くんが恋しい。
と、都合よく考えたって、これまで通り頼ることはしたくない。変に期待させちゃったら悪いし。
早く集合時間の正午になって、体よく川端さんから離れたいなあ。時間よ進め。
「大丈夫? 保健室行く? きらりがお姫様だっこで連れて行ってあげるよ!?」
「勘弁して。できればもう喋んな。できなくても私の視界に入んな」
川端さんに姫抱きされるとか命の危機を感じる。あんな細い体で私をどうするというのだろう。
張り切って腕まくりした彼女が本気であることを知り、慌てて座っていた椅子から立ちあがった。
見ての通り自分で歩けるっつの。もちろん具合が悪いわけじゃないから保健室に行く気もさらさらない。
あそこのおばさん先生がどうも苦手だからだ。やたらと話しかけて来てウザいのに、教師に反抗したところでいいことないから我慢しなきゃならないのが苦痛でしょうがない。
本気で気の弱い大人ならいいけど、あの人は絶対大ごとにして面倒なことになる気がするから厄介。
「……あのさ川端さん」
「どうしたのあーちん」
お互い机を挟んで向かい合って立ち、ふと自分から話しかけた。