真面目にやってる人間には悪いけど、私は自分のしたいようにするだけだ。
「あーちんったら待ってよー!」
慌てて走ってきた川端さんが、ぷーっと頬を膨らませている。
あまりにも何事もなかったかのように接してくるからいつもより二倍増しでイラッとくるわーこれ。
昨日のよそよそしかった川端さんに戻ってくれ、と、今は切実に思う。
というよりは、なに余計なことしてくれたんだ昨日の自分、とも思うし、彼女の家に誘ってきた翔くんにさえ腹が立つレベル。
「あーちん、どっから回りたい? きらりはねー、お化け屋敷とか見てみたいー」
「あんたホラー苦手なんじゃないの?」
「苦手だけどお、どさくさに紛れてあーちんに抱きついたりできるかもしんないじゃん!?」
「もし今日私に指一本でも触れたら川端さんの体がホラーな状態になるかもしれないってこと覚えといて」
「こ、怖いこと言わないでよぉ!」
自称私の親友である彼女の発想が少女漫画のヒロインすぎてドン引いた。
ヒーローを私に置き換えないでほしい。百合な趣味はないと何度言えばわかるんだろう。
そういうのは彼氏作って勝手にやってろって感じだ。