きっかけなんて突然だから。

だからきっと、彼に出会ったのも何かの偶然であり、

たいしたきっかけなんてなかったのだろう。

その日も、友達であるナナと一緒に下校していた。

今日の授業がどうだったとか、クラスメイトの噂など。

他愛もないことを話して、笑って。

曲がり角、ナナと私が別れる道で、

「じゃあね」

「バイバイ」

って明日の約束をして。

1人になった私は、カバンからイヤホンと携帯プレイヤーを取り出し

当時流行っていた失恋歌を聞いてた。


その時だった。