☆優志side☆
いつものように、俺は自分の席へ座った。
そして鞄を机の上に置き、静かに溜息をついた。
「ユウシ!」
「……華子(かこ)」
俺の目の前に座る女子が、明るく人懐っこい笑顔を向けてきた。
その手に握られているのは、数学のノートとシャーペン。
それを見て、俺は苦笑いを返しながら自分の数学のノートを渡した。
「うわ!
ユウシ凄いね!
わたしが欲しいって思ったの、何でわかったの!?」
「いつものことだろ。
華子が課題をやり忘れてくるのは」
「エヘヘ!
だってバイト忙しくて、家でやる暇ないんだもん!
それにユウシの借りた方が、楽じゃない?」
「たまには自分でやれ」
華子はノートを開き、俺が家でやってきた課題を写していく。
その姿を俺は、何も考えないでボーッと眺めていた。
「そういえばユウシ。
バイトの件、考え直した?」
「バイト……?」
首を傾げると、華子は写す手を止め、目を見開いて俺を見た。