「何しているんだよ雛乃!
早くもう片方の手も、俺へ掴まれ!!」





宙ぶらりんの雛乃へ向け、俺は叫んだ。

だけど雛乃は、一向に俺の手を掴もうとしない。






「早く掴まれ!
死ぬつもりかよ!?」

「……そうよ」

「何でだよ雛乃!
お前俺のこと好きなんだろ!?
だったら俺の手を掴めよ!!」

「好きよ。
ユウのこと、大好きよ。
…だから死ぬの、あたし」

「雛乃ッ!?」

「ユウは良いの?
処女じゃない、彼女を持っても。
言ったでしょ?
あたしはもう、昇に汚されたの!」

「雛乃が処女とか関係ねーし!
問題なのは、俺が雛乃を好きかどうかだろうが!!」

「ユウは処女とか気にしないでしょうね?
だけどあたしは気にするの!
だって最初は、ユウが良かったんだから!」

「気にするなそんなもん!
良いから早く、俺の手に掴まれ!
雛乃が死んだら、華子も哀しむだろうが!!」





華子も、幼い時から一緒の、大事な幼馴染だ。

そして雛乃にとっては、大事な親友でもあるはずだ。

雛乃の笑顔を大事にしている華子だから、絶対雛乃が死んだら哀しむ。

俺も雛乃の笑顔が大好きだから、わかるんだ。

華子も、雛乃が処女でなくても、気にしないだろう。