雛乃の口から出てきた、衝撃的な一言。
俺は言葉を失った。
「何でユウなんだ。
どうして俺じゃないんだ。
…昇ね、そうずっと言ってた。
昇ね、あたしのこと、ずっと大好きだったんだって。
だけど、あたしはユウが好きだから…。
あたしが、ユウを好きになったから、昇を壊したのかな…?」
雛乃は涙を拭わず、真っ直ぐと俺を見つめた。
俺は思い切り首を横に振った。
「…んなの間違っているよ!
何でそれで雛乃が被害に合わないといけないんだよ!
雛乃が誰を好きになるかなんて、雛乃の勝手じゃねぇか!
俺も、雛乃のことが好きだった。
だけど雛乃が他の奴を好きでも、俺は構わなかった。
雛乃が笑顔で、幸せでいてくれれば、それで良かった!
何で…何で雛乃が……」
立っていられなくなって、俺はその場に跪いた。
そして何度も、屋上の床に、拳を叩きつけた。
…俺のせいだ。
何で雛乃を迎えに行かなかったんだ。
屋上で何もすることなく突っ立っているだけだったなら。
雛乃を迎えに行けば良かったんだ。
俺がいれば。
喧嘩には負けるかもしれないけど。
雛乃を守ってやることが出来たのに。
「…ちくしょう……ッ」
俺のせいだ。
俺が、雛乃をこんな傷だらけにしたんだ。
何で好きな子1人、守れないんだよ…俺は。