「…ユウ。
これ、華子には内緒に出来る?」
「……何をだよ…」
「あたしのこの…傷とか痣のこと。
きっと華子が知ったら、心配しちゃうから。
ユウも知っていると思うけど、華子って凄く優しいんだよ。
だけど同時に不器用でもあるから、上手く言えないだけなの」
ふふっと笑う雛乃は、やっぱりいつもと違って。
だけどどこが違うのか、俺は何も言えなかった。
「…どうしたんだよ、その傷……」
「……あたしね、ユウのこと好きだったの」
「雛乃…」
「だけどそれが、アイツらにバレちゃって」
「アイツら…?」
「昇たち、だよ」
「はっ!?」
久しぶりに聞いた。
学校へは相変わらず来ていないから。
行方知らずだった。
「ユウ知ってた?
昇って、あたしのこと好きだったんだってー」
嫌そうに溜息をつく雛乃。
月明かりに照らされた傷が、痛々しく光った。