「とにかくあいつぶっ殺す!」


百合さんは憤慨しながら、総長室を出ていこうとする。


「ちょっと百合!彼女の手当ては!?」


「そんな掠り傷、あんたでも処置出来るでしょ!?甘えんなっ!」


そう言って、バタバタと総長室を後にした。


彼は、行き場のない手を引っ込められずに固まっている。


あたしと目が合うと、ばつの悪そうな顔をして頭を掻きながら、さっき百合が取ろうとしていた薬箱に手を伸ばす。


そして、それをあたしの座っている所まで持って来て中を漁る。


「俺は怪我する方専門なので、処置の方は慣れてないんですけど…。」


「いいよ。適当で。」


「そうはいかないでしょ。あ。あった!消毒液これですよね!」


彼はマキ○ンを手にして、難解な問題の解けた子供みたいな顔であたしを見る。


ぷ。


変な人。


「あ、笑った。」