それから30分後。

引越し業者が、終わりました、とリビングのドアを開けて。

ソファに腰を下ろしてた俺は立ちながら、ありがとうございました、と頭を下げる。

それに続いてダイニングテーブルに座っていた瑞紀も立ち上がって礼を言う。

「失礼しましたー。」

引越し業者は笑いながら、頭を下げゆっくりとリビングの扉を閉めてから、間もなく家から出て行った。

鍵。

立ち上がろうと思う前に。

「…鍵、かけてきますね。」

瑞紀が俺より早く立ち上がって、歩き始めていた。