『ピピピピピピ』

「う…ん?」

お決まりの音でうるさく鳴る目覚まし時計。

『カチッ』

俺は朝に弱いんだ…。
少し静かにしてくれ。

ゴロンと寝返りをうち、夢の続きを思い出す。

ーあの後、彼女が車に轢かれて死んだと知ったのは引っ越してからだった。

彼女が向かっていた先は…秘密基地のある、小さな山。

「た!い!ち!兄!!」

バンっとドアが壊れてしまいそうな勢いで妹の柚月(ゆづき)はドアを開けた。

「今、何時だと思ってんの?!太一兄がご飯食べないと片付けらんないし、私も遅刻する!」

朝から騒がしいやつだ。
俺みたいにゆっくりすればいいもの。