「今日からここが美羽のお家だよ」



------11年前、私は生まれた頃から住んでいた家を離れ、都心のマンションに引っ越しをした




4歳の冬にママを病気で亡くして、こっちに越してきたのだ



そのときは、なにしろ4歳で

あまり記憶は曖昧なのだが…




「みうのおうち?ぜんぶ?」



「はは、違うよ。美羽のお家はこのマンションの3階の305号室。覚えておこうね」



「さんまる……」



「まだよく分かんないよな。まぁ、まずはお家に行ってみようか」


「…うん」




私は“ママがいない”という理由が分からず、困惑していて



そして“新しい町”への不安でいっぱいだった


今まで一緒にいた友達はいないのだから