「この手紙の意味は、誰にもわからなかったわ。彼女の祖父母さえも。
空真には、話さなきゃいけないと思っていたけど夜の間はこちらも警察と話を進めたりしていて連絡が取れなかったのよ。

空真、この手紙の意味が分かる?
藍那は、何をしに行ったの?」

分からなかった。藍那が、残したこの手紙の意味。けれど、一つだけ分かることは彼女がこのままここからいなくなろうとしていること。ここへは、2度と帰ってこないこと。

手紙とは裏腹な意味を理解した俺は先生には何も伝えなかった。
分からない、と言うと先生は面倒臭そうな顔をした。

「面倒なら、こんな大事にするな…。
藍那がしたことが面倒と思うなら探すな…!

藍那が、何の為にこんなことをしたのか分からずに教師だけの建前で藍那を探すな!!
藍那がどんな思いで、どんな気持ちでこんなことをしたかもわからない教師たちが藍那を探す資格なんてない!!
そんな風に思うなら、教師の名を名乗るな!!!」
「空真…」

分からなかった。

教師たちがどうして、そんなことを言ったのか。確かに、赤の他人であったことに変わりはないけれど、それでも1度でもその世界へ踏み込めば助けようと思わないのだろうか。どうして、藍那ばかりが追い込まれるのだろうか。それは、考えても分からなかった。